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海を歩く神経に塗り替わる皮膚

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2013年

[] プリトヴィツェ国立公園

青と緑の記憶は見たこともないのにそのままここにあるのだとおもえた。眩しい眩しいと歩いてふと見たら、セルリアンブルーのとんぼが飛んでいた。ここにもそこにもセルリアンブルー。輝いているように見えるその羽は蝶々になろうとしているとちゅうくらいの幅でふわりとカーブを描いている。胴体はそれほど細くはなく長くもなく、それでよけいに蝶々に近づいているように見えた。

足下には透明な水。ずうっと遠くまで浅く、それでも陽光に青みを帯びている。大きな湖。数日前までは雨つづきだったという空はうそのように明るくまっ白の雲が浮かんでいた。

歩いていると木々につつまれる。森だった。

森のなかに滝があり、高山植物らしい清い色の花がぽつぽつとちいさく咲いていた。倒れた木は白くなって、つぎのちいさな水草やちいさな魚のすみかになっていた。湖の深いところはやわらかなエメラルドグリーンになっていて、ふとした拍子に

渓流にぶつかるのだった。出発する前にこころが動いて、東北の湖や渓流を歩きたいとおもったその欲がすっかり満たされるくらい、そこいらへんにふと渓流といったぐあい。

浅いところ、深いところ、どちらも水がきれいなのがしみる。浮かれたため息がこぼれる。おもいきり息を吸い込んで明るさものみこむ。ああなんて気持ちいい。

光に飛ばされてしまったけれど、この魚たちのひれは鮮やかな橙色をしていた。手前には紫水仙と釣鐘草のあいのこくらいの花が咲いていた。

ほとんど一日、歩いては休み、歩いてはトレイルに乗り、歩いてはボートに乗り。眩しくて明るくて、けれども風が気持ちよく木陰に入ると涼しいくらいで。

つぎの日もお散歩。気持ちよさにすっぽりくるまって、時を忘れた。

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