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海を歩く神経に塗り替わる皮膚

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2013年

[] アラブ・ストリートのサルタン・モスク

モスクに行きたくて、アラブ・ストリートをリクエストした。リトル・インディアの寺院ではサリーを着たひとがたくさんいて、それが当たり前の風景だと思っていたからちっとも意識していなかったけれど、そういえばサリーはインドのひとの服装なのだった。モスクにはモスクの服装があった。

モスクのためにと持ってきた髪を覆うためのスカーフにくるまって中へ。といってもさらに奥の絨毯の空間と入り口のあいだには柵がある。絨毯の空間は信者さんたちの領域。後ろから、そして側面の通路から、そっといさせてもらう。

絨毯を区切る柵の手前の空間で絨毯の奥に吸い込まれそうになって立ち尽くしていたら、日本語で話しかけられた。どうやらイスラム教徒の日本人のよう。親しげに「ここは~でね、~なのね」というくちぶりで話していて、それではじめ自分に話しかけられているとはおもわなかった。彼女はあまりにも風景だった。それからハッとして、わたしに話しかけているのだと気づいてぎょっとするみたいなのけぞるようなきもちになって言葉を失い、ああ、わたしはこういうことにぎょっとするのかと見つめる。その衝撃で、話しかけられている言葉はただの音としてしか聞くことができなくて、意味をまったく聞き取れなかった。

モスクの脇には小洒落たカフェの並ぶタイル張りの通りがのびていて、けれどもよく見ると二階は宿の名残か宿なのか看板が続いていて、明治期のような街灯と一緒に南国の木が立ち並ぶという不思議ミックス。

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