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海を歩く神経に塗り替わる皮膚

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2012年

[] ロンドン

冬の近いロンドンはきっとどんよりと暗くゆううつになるような雨の街なのだと、そう思い込んでいた。到着したのは夜だった。空港からホテルまでの地下鉄は途中で運休になっていて、文字通り右往左往して、何度か同じ駅を通り過ぎてようやくの思いで Paddington を降りた。降りたら降りたで方角がまったくわからず、ずいぶん長いこと標識を探して歩いた。けっきょく人に尋ねて地図を調べてもらった。

駅から歩いて5分とかからないそのホテルの部屋は、ただしく傾いていて、シャワールームのガラス戸の開け閉めがむつかしかった。

朝、目が覚めたら日が差していた。ロンドンの街は明るかった。明るい冬の空気はひんやり気持ちよくて、すこし歩くとぽかぽかする。どんよりなんてうそみたいだった。お日様と青空の下を歩いていたら真っ赤な二階建てのロンドンバスが何台も連なって過ぎていった。真っ赤で背が高くてぴかぴかしていて、はっとした。ロンドンバスはいいよ、安くて便利、そんな言葉が頭のなかに鳴る。誰かに聞いたかどこかで読んだか、ともかくきっと便利に違いないと思って乗り込んだ。

せっかくだからと2階に上がって窓際の席に座る。家々がころころと目の前を過ぎてひとびとが少し前のめりに歩くのを見送って、バスはいい、たのしい、なんといっても街のなかが見えるのがいいと思った。それでいつのまにか終点だった。

ほんとうによいお天気だったから、歩いてすこし戻って、それから電車に乗った。行きたいところがあったのをおもいだしたのだった。

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