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海を歩く神経に塗り替わる皮膚

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2009年

[] 養老天命反転地

ここもずっと訪れたいと思っていた場所だった。

すべて傾斜でつくることで平衡感覚や遠近感に揺さぶりをかけるというコンセプト。滑ったり転んだりしてけがをする人が続出のアートということで自分はどうなっちゃうだろうと楽しみにしていた。

そこにあったのはとても静かな構築物だった。

たしかに面白かった。野外に置かれているために分断された家具も通路も塵や埃がつもって虫の棲み処になっていて、しかも足下は傾斜なので歩くときに自分の感覚にはたしかに気を遣っていた。それに日本列島を北海道から九州へと無理やり登ったその足場がたぶん本当は登る用にはつくられていなかったので気を抜かなくても滑り落ちそうで、けっきょく重心を低くするために列島にへばりつくしかなかったときは冷や汗をかいた。

でもそれが一番の波で、たぶんこの場の狙いが体験者の内側で達成されるためには、ここにまるまる1日とか2日いなければならない、その間ここから出てはならない、みたいな閉じこめをして、自分の体を使って徹底的に遊び尽くすように仕向けるとかした方がいいのかもしれないと思った。

体を感じながら使うこと、そこに自分の神経との真剣な対話が生まれることを狙いとするなら、アートとして提供されたこの反転地よりも私は鍾乳洞をおすすめしてしまう。→■鍾乳洞

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