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海を歩く神経に塗り替わる皮膚

2019年

[] エリス島移民博物館

ニューヨークの移民関係の博物館は、と調べたらたくさん出てきて困ってしまったのでどこがいいか聞いてみたらエリス島のがオススメだと教えてくれたのでここにした。

展示内容はたっぷりだった。困窮を逃れてあるいはより良い生活を求めて移住しようとエリス島にたどりついたひとの背景、名簿、家族、写真、荷物、入国の可否を審査するために行っていた病気の有無や精神状態の検査、その際に使った道具、審査待ちの部屋、検査を受けている間の恐れや不安についての音声記録、エリス島がその役目を終えてから博物館が開館されるまでの経緯、現代の移民の様相、アメリカに来てから生き延びるために直面する問題など。

大量のパネルと展示を見ているなかで目に止まったのはこの問い。

"If you had to leave your home forever, what would you take with you?"

数年より短い時間での引越しを重ねることになったから、荷物を整理するたびに必要なものを選び、運んだ。使わなかったから次からはいらないと決めたものがあった一方で、使うか使わないかにかかわらずソノモノを目にすることで支えられたなと思うものがあった。それはたいてい小さなもので、だからというわけではないけれど、小さなものが好きみたい。それからソノモノでなくてもよいけれどそれでもなにかしらの形でアクセスできることで支えられたなと思うもの、たとえば大事なひとからもらった言葉、過去の自分が書き付けただれかの言葉、訪れた場所の記録。モノを持ちつづけることが苦手なわたしにふさわしい「必要なもの」を、ちゃんと大事にしたい。

2019年

[] 自由の女神

移民博物館に行こうと思ってフェリーに乗ったら自由の女神の島で降ろされた。よくわかっていなかったのでほかの乗客と一緒に降りて音声ガイドを借りて説明のとおりに歩いて行ったら自由の女神の話しかないままガイドツアーが終わってしまったのでおかしいなと思いつつフェリー乗り場に戻ったら、目的地だったエリス島へはここから、という看板があって、ややや、別の島だったんじゃないかとそこで気づいた。

2019年

[] ニューヨーク

アメリカといえばベーグル、と思って来たらちっともそんなことはなくてワシントンはむしろ壊滅的だったので、ニューヨークに期待した。最初のお店はワシントンよりはよいけれどいまいち、つぎのお店も多少はよいけれどやっぱり満足せず、職場のひとが教えてくれたお店はロンドンで気に入ったお店のと比べたらあと0.4歩というところだったけれどそれでもアメリカに来てから一番おいしいベーグルだったので持ち帰って冷凍しようと袋いっぱいに買った。

夜になったらTimes Squareに行くといいと言われたので日が暮れるのを待った。あらわれたのはカラフルに光るお店の看板。渋谷にいるかと思った。でも、写真はTimes Squareとはまったく関係ない。

2019年

[] ニューヨーク公共図書館

お店とひとでごみごみしていて上海の路地や香港のにぎわっている場所のような油っぽさと酸っぽいなにかのにおいを感じながら、ブロードウェイをオペラ座の怪人へと急いだ。歌と踊りは残念な部分がありつつも舞台装置はさすがで、とはいえ期待したほどではなく、終演と同時に席を立ってニューヨーク公共図書館へ。NYPL、利用者へのアピール力の高さが魅力。

ウェブサイトがいいな、デジタルコレクションがかっこいいな、というところから、おや Linked Open Data 出してるぞ、翻刻システム出してるぞ、分類同士のマッピングしてるぞ、と注目せずにいられない場所になっていて、気づいたら映画になっていた。

映画、というのはNYPLに取材したドキュメンタリー《Ex Libris》。出発する前は観る時間がなくて、調べたらUK Amazonでストリーミングをレンタルできることがわかったのでワシントンに来てから観た。ロードムービーみたいだった。ストーリーを紡いでメッセージを伝えるというより、撮ったものを切ってつないで音を組み合わせてちょっと演出して今の図書館が取り組んでいることを全部盛りにして見せたみたいなふう。読むひと、レファレンスに応じる職員、ダンスを習うひと、調べ物をするひと、講演会の講演者と聴衆、課外授業を受ける子ども、予算について議論する職員、職探しをするひと、英語講座を受ける移民、勉強する学生、モバイルホットスポットを借りていくひと。こんなに長くなきゃだめ?とおもうくらい長くて、トピックもいろいろすぎて、これ、受け取れるひとどれくらいいるんだろう、とぼんやりした。

というようなことは、実際に目にしたらなにひとつ思い出さなかった。子どもたちが絵本を読んでいて、本屋さんのポップみたいな本の紹介パネルが置いてあって、静かに調べ物をするひとがいて、観光客もいて、アーカイバルボックスがあって、かっこい棚があって、どこかの映画に出てきてもおかしくないような回廊があった。この建物のどこかであのサービスやあのデータを考えて作ったひとが仕事しているんだなと思いながら、歩いた。図書館はひとに話を聞きに来るほうが面白いなとも思った。でも、それでも、行きたいなあと長いこと思っていた場所に来ることができてよかった。

2019年

[] Washington D.C.

例年どうかは知らないけれどワシントン2019年の夏は体感気温43度というわたし史上最も暑い夏で、ほんとうにこりごりだと思いながら過ごしている。こりごりな気持ちで毎日1時間以上は歩いていて、だから街路樹の緑がたくさんあることだけが救いで、それでも道路が広いために横断歩道が長くて渡るたびに直射日光にさらされて皮膚が焼けてしかたないので、日よけのためにやむを得ずカーディガンを買った。太陽はもうちょっと仕事をさぼることを覚えてほしい。

いまのところ美味しいパンもケーキもお肉も見つけられていなくて魚は端から期待していないけれどせめてこれくらいはと試した果物は普通のものばかりで(でも普通のものがあっただけよかった)ジェラートもコーヒーも味にコクがなく、食べ物も飲み物も残念な思いをするばかり、満足したのは果肉入りオレンジジュースとラズベリーのビネグレットくらい。気に入る雑貨屋も紙もの屋も見当たらず、ちょっといいかなと思えば日本製(浅草だった)。ついでに言えばセールの時期だからと靴を買おうと思っていたけれど望むものは売っておらず。こんなナイナイづくしの上に気が滅入るほど暑いときており、太っ腹に開放している美術館くらいしかほめられるところのなさそうなDCではあるけれど、住んでいる場所の最寄の地下鉄はたいへん暗くてかっこいい。

帰るまでにはよいところをもうすこし見つけられるだろうか。